UMLモデリングの本質 第2版

UMLモデリングの本質 第2版

UMLモデリングの本質 第2版

サブタイトルにあるとおり,「良いモデルを作るための知識と実践」が分かりやすくまとまっている.UMLを道具としてどうやってモデルづくりに活用するのかが例題を通して理解できた.

モデリングから実装への大まかな流れをまとめてみる.
なお「型図」はUML記法のクラス図を使って概念の構造を記述したモデル図と定義されるもの.

  • 1. 名詞抽出法(システムへの要求に出てくる名詞全てを型の候補として,選別ルールに基づいてふるい落とす)で概念を取り出す.中心となる概念に絞って,他の概念との関係を型図にする
  • 2. 業務フローをアクティビティ図で書き,ユースケースを列挙する.
  • 3. 要求の目的を明らかにし,ユースケース図,ユースケース記述を書く.機能の定義をするこの時点では,その実現手段そのものは表記しないことが重要.
  • 4. ユースケースシナリオに基づいてシーケンス図を書き,モデルを検証して型図を修正する.
  • 5. 将来想定されそうな機能追加や拡張を想定してモデルを洗練する.
  • 6. 概念レベルから実装レベルに変換する.実装する言語で扱えない部分(動的分類,多重分類など)について型図からクラス図に書き換え.
  • 7. 各クラスの責務を割り付け,インタフェースを設計する.シーケンス図でクラス間のメッセージを確認する.

実際のところ,時間的,要求仕様の固まり具合的な制約によって全工程を辿れることは少ない気がするが,自分の頭の中を整理する意味でも道具としては使いこなせるようになっておきたい.

UMLのツールは List of Unified Modeling Language tools にまとまっている.
有償のソフトだと Enterprise Architect が使いやすそうで,試用版を使ってみている.多機能すぎて全ては使いこなせる気がしないが,HPには動画のチュートリアルやマニュアルが揃っているし,無料セミナーもやっているようだ.プロフェッショナル版で26000円弱と,結構なお値段なのがネックではある.(それでも他の類似ツールよりは安くコスパはよさそう)

フリーなものだと,Dia がよさげ.Dia2Code と組み合わせるとDiaで書いたダイアグラムからソースコード生成もできるみたい.